「パリの子供部屋」「パリの小さなアパルトマン」、パリやインテリアが好きな人は、どこかでジュウ・ドゥ・ポゥムの本を見たことがあるかもしれません。「ところでジュウ・ドゥ・ポゥムってなに?」そう思ったことがある人も多いのでは?ジュウ・ドゥ・ポゥムとは本の著者であり、出版社でもあるんです。「こんな本があったらいいのに」「このアーティストの人を紹介したいな」そんな気持ちからパリやストックホルム、ロンドンまで訪ねていき、その写真をもとに本づくりは始まります。そして執筆やデザイン、1冊の本が完成するまでの作業を、自分たちだけですすめています。
私はこのジュウ・ドゥ・ポゥムで編集をしています。といっても、私が担当する仕事もいろいろで、一般的にイメージする編集の仕事とは違いそうです。フランスや海外のアーティストのエージェント、青山と自由が丘にあるショップ「ギャラリー・ドゥー・ディマンシュ」の運営、カタログや書籍のグラフィックデザインなど、少人数の会社ながらジュウ・ドゥ・ポゥムには実に幅広い分野の仕事があります。業務は一見バラバラのようですが、どれもアーティストたちの作品や制作活動をたくさんの人に見てほしい、という思いからスタートしています。もともと小さな出版社で営業職を経てジュウ・ドゥ・ポゥムの本の編集を担当していた私でしたが、実際にジュウ・ドゥ・ポゥムに入ってから、いちばん驚いたのがひとりのスタッフがいろんな種類の仕事を担当することでした。慣れない仕事にとまどうこともありますが、ひとつにとらわれないことが私に新しい出会いをもたらしてくれています。まったく違う分野での仕事が次の本のヒントになることも…、それは楽しい発見です。
ジュウ・ドゥ・ポゥムが手がける本はクリエーションシリーズといって、たくさんのアーティストが協力してくれています。この本ではアーティストたちが主役、私たちはアーティストの紹介者です。本を読んでいる人が、アーティストの家を訪ねて一緒におしゃべりしているように感じてくれたらと思いながら、私はページレイアウトを考えたり、文章を書いたりしています。写真と文章とデザイン、それぞれが持ち寄った素材を、本を開いた人に伝わりやすく楽しんでもらえる形に導くのが、編集の仕事です。それは、ちょうど料理のようなもの。集まってきた素材を、手に取ってくれる人においしく味わってもらうためにはどう料理しようか、冷蔵庫を前に腕組みする、そんな時間に似ている気がします。そういう思いをめぐらしながら生まれた本について、書店でフェアや展示会をしたり、読者アンケートハガキで感想が戻ってきたり、その後にさらに新しいつながりができていくのは、とてもうれしいことです。「こんな本が読みたい」という小さな思いが、本を通じてだんだんと大きな輪になっていく…。これからもその輪を大切に広げていきたいと思っています。

Coco Tashima
2007年装苑1月号より